上司に、退職するって言ったら、「辞めさせない」と言われた。
会社が倒産したり、精算する場合を除き、あなたが社員が退職することを会社に伝えたら、あなたの上司や周りの同僚や部下の人は、いろんな感情を抱くと思います。
特に優秀な人が辞めると、仕事や事業に影響がでて、周りの人がフォローすることも大変になるので、出来れば思いとどまって欲しいと思います。
また、直属の上司が若い人の退職をなくすことを組織目標にしている場合もあり、辞められる事によって自分の評価が下がる場合もあります。いずれにしても、戦力になっていた人が辞めることは、会社にとって損失になるので引き止めることも多くあると思います。
そもそも、上司による退職の引き止めって違法じゃないの?
最近の会社はコンプライアンスが厳しくなっていますので、遵法性を問われることに関しては敏感になります。退職を引き止めることは違法じゃないのでしょうか?
行き過ぎた引き止めは違法になる可能性あり
奴隷的拘束の禁止
憲法第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
日本国憲法
労働者が、お金をもらって働いていることが、「奴隷的拘束」に該当するかどうかという問題はありますが、極端かもしれませんが、辞めたいと言っている会社にいなければならないとなると、その可能性も出てくるのではと思います。
職業選択の自由
憲法第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
日本国憲法
選択の自由なので、労働者が違う仕事をしたいという場合に、労働者の自由を認めるということになります。つまり、同じ職業に拘束し続けるという、「行き過ぎた引き止め」になってしまうと、違法になる可能性が出てくるかと思います。
民法の規定
民法第627条
民法
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
つまり、労働者が辞めますといって2週間を経過すると、法律上では辞めることができ、自由に退職できることを保証しています。就業規則で1ヶ月前といった定めがある場合にも、就業規則による強制はできませんが、とはいえ、円満退職を望んでいるようでしたら、少し早めにお伝えすることは良いのではと思います。
あなたのことを心配している場合も
上司による退職の引き止めは、あなたのことを考えての行動の場合もあります。何か問題があって、感情的になっている場合などは、一旦落ち着いて考えるのも良いと思います。上司などが以下の対応だったら少し聞いてみるのも良いと思います。
不満や不安を受け止め、解決の提案があった場合
退職する人は、多かれ少なかれ会社に不満や不安がある事が多いです。色んな要素が重なって退職する人も多いと思いますが、その一番の原因を上司に伝えてみて、検討してくれるということであれば、少し考えてもいいと思います。
退職理由を詳しく聞いて心配された場合
報告を受けた上司からすると、退職の理由が心配になることも多いと思います。例えば、
- 料理を作ったことがないのに「居酒屋を経営したい」
- 少しギターをかじった程度なのに、「プロになりたい」
- いい年齢なのに「アイドルになりたい」
私も知っている限りだと「俳優になりたい」といって会社を辞めた人がいましたが、その後にテレビで見た記憶はありません。
さすがに、無謀な退職をするぐらいだったら、引き止めて続けたほうが良いという客観的な事実がある場合には、少し立ち止まって考えてもいいと思います。
上司は引き止めるリスクもある
上司の立場でいうと、「新しいことにチャレンジしたい」ということを、自分の考えだけで変えても良いのかという思いも出てくるかと思います。引き止めたことによって、成長したいと思っている人は、人間としても讃えられることだと思いますので、それを見守るということも大事ではと思います。
それを、止めてしまうと本人が将来後悔してしまうことを考えると、会社での立場というより、一人の人間としてのリスクもあると思います。
まとめ
会社を選択することは憲法によって認められているため、過度に引き止める場合においては、違法になる可能性があります。ただし、会社に対する不安や不満を聞いてくれるようだったら話してみるのも手だと思います。また、退職が無謀な挑戦かどうかは、上司としっかり話してみるのも良いと思います。上司は会社の立場の前に、一人の人間ですので、一度しっかり話をしてみるのが良いと思います。
ただし、会社を辞める場合には次の仕事を決めておくことをおすすめします。
「会社を辞めてから次の会社を考えよう」としてしまうと、前の会社より条件が悪くなったり、仕事も辛くなってまた転職しなければならなくなってしまうと本末転倒です。
会社に「辞めます」と言う前に、転職エージェントに登録をして、相談してみてはいかがでしょうか?